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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

新太郎君も寛一君も在学中歯ぎしりをし通した丈けに嬉しかった。

「僕は明日も来る」

と新太郎君は興奮していた。

「豪いね。しかし牛込の方は何うする?」

と寛一君が訊いた。

「後から廻る」

「何だ」

「来年の春からは御同伴だぞ」

「秀子さんは野球が分るかい?」

「何うだか知らないが、僕が教育するよ」

と新太郎君は大威張りだった。

翌日も二人連れ立って見物した。○軍は段違いのスコアで△軍を屠った。二年間負け続けて先輩から風紀敗頽の譏を受けていた折からの快勝に、嬉しさ余った選手達は相擁して泣き出すという始末。薄暮の野球場に劇的光景が展開された。感激に富む数千の若殿原はそのまゝ去りやらぬ。

「祝勝会をやろう」

「大々的に」

「銀座へ」

「銀座、銀座」

という声が伝わった。

「何うだい?」

と寛一君。

「行くとも」

と新太郎君。

松浦の友三郎さんも○○大学出身だ。同窓なればこそ今回の縁談に特別の計らいをしてくれたのである。それで次の日曜に新太郎君が訪れた時、

「宜かったですなあ」

と話は先ず○軍の勝利で始まった。

「二年振りで溜飲を下げましたよ」

と新太郎君は早速仕合の概略を物語った後、