轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きくやしき

菊屋敷

山本 周五郎

「菊屋敷」産報文庫、大日本雄辯會講談社、1945(昭和20)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,620 字 · 71 页

青空文庫

云うことも態度もひどくそわそわして、少しも同じところに止まっていない。それも気懸りだし、相対してよく見ると小松は窶れが眼立っていた、着ている物も粗末だし、自慢の髪道具もみえない。美しいことはやはり美しいが、眼のまわり鬢のあたりに疲労の色がしみ附いて、肩つきなどぐっと痩せているようだ。――産後のせいなのだ、志保は初めそう思っていたが、妹のようすを見ているうちに、この夫妻がなにか困難な立場にいるということを察しはじめた。

「うちあけて申しますとね姉上さま、園部は高田藩から退身してまいりましたの」小松はひじょうな早口でそう云った、「……おいとまになったのではなく、こちらから願った退身ですの。理由は園部の才能のためですわ。この塾の秀才といわれ父上もあれほど認めていらっしゃいましたわね」

「さようなことを申して」晋吾が堪りかねて妻を制した、「……聞き苦しいではないか小松、姉上がお嗤いなさるぞ」

「わたくし本当のことを申しているのですもの、ええ本当のことですとも、そして世間で認めなければ、こちらで認めさせるより仕方がございません。まして肉親の姉上ではございませんか、わたくし思っているとおりを申上げますわ」