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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
ホホホホホ」
黒衣婦人は、青年の苦悶を享楽しながら、さらに新らしい恐怖に説き進んだ。
「あんた、K子さんがいなくなって、さびしいでしょう。どこの動物園へ行って見ても、猛獣の檻には大てい牡と牝とがお揃いでいるものだわ。あたし、もう先から、あんたにお嫁さんをお世話しなけりゃと思って、いろいろ心がけていたのよ。そして、きょうやっと、その花嫁さんをお連れ申したってわけなの。ごらんなさい。美しいお嫁さんでしょう。どう? お気に召さなくって?」
早苗さんはそれを聞くと、ゾーッと悪寒を感じて、顎のあたりがガクガクふるえるのをどうすることもできなかった。
今こそ、「黒トカゲ」の邪悪なたくらみの全貌が明らかになった。女賊は、美しい早苗さんをまるはだかにして、この檻の中へ投げこむために、それから、頃を見て、彼女の生皮を剥ぎ、恐ろしい剥製人形として、悪魔の美術館を飾るために、あれほどの苦心をして、彼女を誘拐してきたのだ。
「あら、早苗さん、どうなすったの? ふるえているんじゃないの? 葦の葉のようにふるえているわね。わかって、あなたの役割が。でも、このお婿さん、まんざらでもないでしょう。