轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろとかげ

黒蜥蜴

江戸川 乱歩

「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页

青空文庫

葉子はあんなに泣いたりわめいたりしながらも、僕を信じ切っていた。僕が必らず救い出しにくるということを、確信していたのだよ。」

読者諸君は、この物語りのはじめの方の「怪老人」という一章を記憶されるであろう。名探偵明智小五郎のぎまん作業は、実にあの時に行なわれたのであった。怪老人はつまり明智の変装姿にほかならなかった。そして、あの夜から、ほんとうの早苗さんは、明智だけが知っている、別の場所にかくまわれ、それと入れ違いに、早苗さんになりすました桜山葉子が岩瀬家に入りこんだのであった。その翌日から、早苗さんは一間にとじこもったきり、家人には顔を見られることさえいやがるそぶりを示した。岩瀬氏夫妻は早苗さんはうちつづく迫害に、一種の気鬱症になったものときめてしまって、彼女がにせものだなどとは疑いさえもしなかった。葉子の名優ぶりはこの時からして、すでに抜群であったのだ。

名探偵の、意外につぐに意外をもってする物語を聞くにしたがって、黒衣婦人はもう、心底からこの大敵の前に兜をぬいだ。明智小五郎という一個不可思議の大人物を、心から崇拝したいほどの気持になっていた。