轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
だがその裏に、名探偵に対する、女賊のもえるような闘志がかくされていたことを、明智はさとり得たであろうか。
「おもしろいですね。つまり、僕が負けたら廃業してしまえとおっしゃるのでしょう。女のあなたが、命から二番目の宝石をすっかり投げ出していらっしゃるのに、男の僕たるもの、職業ぐらいはなんでもないことですね」
明智も負けていなかった。
「ホホホホホ、ではお約束しましてよ。わたくし、明智さんを廃業させてみとうございますわ」
「ええ、約束しました。僕もあなたのおびただしい宝石がころがり込んでくるのを楽しみにしていましょうよ。ハハハハハ」
そして、冗談がいつのまにか真剣らしいものになってしまった。ちょうど、その途方もない相談が成り立ったところへ、それとも知らぬ、当の早苗さんが近づいて、にこやかに声をかけた。
「まあ、お二人で、何をヒソヒソお話しなすってますの。あたしもお仲間に入れてくださらない」
彼女はさも快活らしくよそおってはいたけれど、その顔色にどこかしら不安の影がただようのをかくすことはできなかった。
「あら、お嬢さん、さあ、ここへお掛けなさい。今ね、明智さんが退屈でしようがないって、こぼしていらっしゃいましたのよ。