轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
「ホホホホホホ、これですか。眠り薬よ」
葉子はハンド・バッグからアダリンの函を二つ出して見せた。
「あんたはその若さで不眠症かね。まさかそうじゃあるまい。それに、アダリン二た函というのは……」
「あたしが自殺するとおっしゃるの?」
「ウン、わしは若い女性の気持が、まんざらわからぬ男じゃない。おとなたちには想像もできない青春の心理じゃ。死が美しいものに見えるのじゃ。けがれぬからだで死んで行きたいという処女の純情じゃ。そしてお隣には、やけっぱちな、われとわが肉体を泥沼へ落としこもうとするマゾヒズムがいる。ホンの紙一重のお隣同士じゃ。あんたがストリート・ガールなんて言葉を口ばしるのも、アダリンを買ったのも、みんな青春のさせるわざじゃよ。」
「で、つまり、あたしに意見をしてくださろうってわけですの?」
葉子は興ざめ顔に、突き放すようにいう。
「いや、どうしまして、意見なんて野暮ったいことはしませんよ。意見じゃない。あんたの窮境を救ってあげようというのじゃ」
「ホホホホホホ、まあそんなことだろうと思ってましたわ。ありがと。救って頂いてもよくってよ」
彼女はまだ誤解しているのか、さもおかしそうに冗談らしく答える。