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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

袁世凱はすでに帝号を称して即位、支那革命は瓦解に瀕していた。しかも東北革命軍の頼みの綱の武器は門司でおさえられたままである。

青島に渡ると、現地の日本軍の軍司令官からただちに出頭せよと来た。第一次大戦に参戦した日本は、青島をドイツから奪ってそこに占領軍を置いていた。その軍司令官からの呼び出しである。てっきり退去命令だと、覚悟して行くと、首相より内命があって便宜を与えよということだから安心するがいい――そうした司令官の言葉だった。

「急転直下とはこのことだな。武器も門司から青島に来るし、これで万事うまく運んで、東北革命軍は反袁の軍を進めたのだ」

ふーんと俺は唸っていた。慷堂の話は、血湧き肉おどるという形容が誇張でなく当てはまる話だったが、それで俺が唸ったのではない。大隈首相を相手どって談じこんだ慷堂は、今こうして俺みたいな青二才を気楽に招じ入れて、気楽に話しこんでいるけれど、なるほど北槻中尉が鞠躬如としているのも無理はない慷堂だと思ったのだ。

「日本の軍人――しかも現役の軍人で、この革命軍に援助を惜しまなかった人もあのころはいたものだ。坊子駐屯の連隊長などは職を賭して革命軍を助けておった。