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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
なに言ってやがると俺は、見えすいたおべんちゃらにむかむかして、
「暑いから、傍に寄るなよ」
「薄情ね」
「暑いから暑いと言うんだ」
「あーら、こわい顔……」
「こわいのは、これからだ」
俺は女の股倉に無造作に手を突っこんだ。
「いや! 乱暴ね」
「素人みたいなことを言うない」
「憎らしい。わざと、そんな乱暴な……」
「乱暴は俺の地だ」
「初会だというのに、ねえ、兄さん、そんな手荒な真似しないで。気分が出ないわ」
「俺には気分なんかどうでもいいんだ。俺がほしいのは、おめえの○○○○だけだ」
みっともないから伏字にしたが、俺はできるだけ下司な自分にしたかったのである。下司な振舞いだけではあきたらず、言葉も下司に、もっともっとあさましいことを口走りながら、
「なんだ、パイパンか、おめえは」
「ごめんなさい」
なんておとなしく出られて、よけい、いらだった。俺は株屋やなんかじゃないから、白板だからって、縁起をかつぎはしない。むしろ、
「パイパンとは面白え」
娼妓のくせにしおらしく無毛を恥じてその大きな顔を赤く染めた女を、俺はやにわにすっ倒して、長じゅばんを手荒くめくると、女は素速くうつぶせになって、前を隠した。