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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
そのため頭隠して尻隠さずみたいに、むき出しになった女の尻を、俺はぴしゃりと手でたたいて、
「話にゃ聞いてたけど、実地にお眼にかかるのは初めてだ。おい、見せろ」
いやア、いやアと女はもがいて、
「見せ物じゃないわよ」
「なに言ってやがる。見られるのがいやなら、○○○○も、ことわったらどうだ」
人殺しを決意した俺が、その決意を俺の心から消し去るには、なにか、こう残忍なことが必要だったのだろうか。
「見せたくねえんなら、手で見てやる。たけえドテだな」
パイパンのせいか妙に汗ばんだ「茶碗」のドテを手でおさえつけて、エンコ(指)を乱暴にもぐらせると、
「いけすかない。大事な商売道具が、けがしたら、どうすんの」
と女もさすがに気色ばんだ。その言い方がおかしく、俺はふき出しそうになったが、
「いちいち文句をつけやがる。俺が買った女を、俺がどうしようと勝手だい」
あくたいをつくことで俺は、生理的と言ってもいい快感を覚えていた。
「ひとをなぶりものにする気なの」
「ヨリガマシか。言うことをきかねえからだよ」
「こんないけすかないお客、はじめてだ」
「俺もこんなおいらんは、はじめてだ」
嗜虐の楽しみが男にはあるとすると、女には被虐のそれがあるのか。