轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
俺は眼をむいて、
「なんだ、この野郎」
「あんたには、何か憑いてるね」
いたましそうに、男は言った。
「ツイてる?」
「憑きものだよ」
真黒に陽やけした、羅漢さまみたいな男だった。特におでこがてらてらに黒光りしていて、そのまわりをキリストのあのイバラのように、もじゃもじゃの髪がかこんでいる。
「憑きもの……?」
「だから、そんなにうなされるんだ」
「うなされてやしねえ、馬鹿野郎!」
俺は憑きものを追い払うみたいに手を振った。その俺に、
「あいつはラジオ(無銭飲食)なんだ」
俺の隣りの男がせせら笑った。ラジオのようなケチな微罪でここへひっぱられるのは、軽蔑に値することなのだった。
「可哀そうにねえ」
自分のことを言ったのか、俺のことを言ったのか、羅漢のような男はそう言って、
「あんたに憑いてるのは、猫かな」
「猫……?」
「犬だな」
羅漢の隣りに坐ったクロトンビ(とは、のちに知ったのだが、深更師とも呼ばれる深夜の窃盗)が、自分のこめかみに指をやって、くるくると指を丸めて、この羅漢は気ちがいだと俺に告げた。
気ちがい? それにしても、おだやかならぬことをぬかしやがる。
「犬がついてる?」