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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
だのに彼らは、それにむくいるに、排日抗日とは何事ですか」
俺の顔見知りの将校だった。
「それは君らが怒る以上に、わし自身どのくらい怒っているか分らん。いや、どんなに苦しんでることか」
慷堂は憮然たる表情で、
「わしらの同志は身命を賭して彼らを援助した。彼らにとって日本は忘れがたい恩人のはずだ。その彼らが今日、日本に対して排日の抗日のと……」
「実に許しがたい忘恩行為です」
「だが、しかしあの排日抗日には、支那のほうにも言い分はあるのだ。それと言うのも、日本のやり方が、なんと言ったらいいか、一口に言ってまずい。実にまずい。ただいたずらに支那の怨みを買っている」
「先生は支那に対してやはり同情的です。いくら裏切られても一時は愛した子供だからでしょう。それにしても先生たちは共和革命になぜ同調的だったのですか」
これも俺の知らない将校の質問だった。
「日露戦争前のことだが、扶清却露という言葉があった。清朝を扶けて、東洋に野望を抱くロシアをしりぞけようというのだ。わしらの先輩は、それだった。清朝を扶けて、東洋の平和を築こうというのだ。それが排満興漢の支那革命に同調するに至ったのは、清朝を相手にしていたのでは東洋の平和が望まれなかったからだ。