轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「これからは、どこかへ行くときは、頼むから、わたしにこっそり知らせてくれないか。行方不明と言うんじゃ、わたしの責任になる。悪いようにはしないから、わたしにだけは、行き先を知らせて貰いたいな」

そう言って菓子折りを置いて行った。

刑事の出入りは兄嫁の神経をとがらせた。「かかあ天下」の兄貴の家に俺はいづらくなった。俺も砂埃のこうひどくない、いくらかは空気のいいところへ移りたくなった。

もともとアパートを借りるはずだったのが、俺の発病で頓挫したのだ。波子に言って、アパートの小さな部屋を借りて、そこで療養することにした。その療養費を、というより生活費をかせぐため、波子は、

「働きに出る」

と言った。すまねえなと俺は詫びた。

「なに言ってんのよ」

この波子は、つとにそのつもりだったらしく、乳はたっぷり出るのに志奈子への授乳を早目に切りあげて、もうすっかり離乳させていた。その志奈子を兄嫁に預けて、波子は夕方から銀座の小料理屋へ働きに出た。赤ん坊を俺のそばに置いては、俺の病気がうつるからいけないと兄貴はそう言って、志奈子を預かるのを細君が面倒がるのを防いだ。

波子は兄貴の家に寝泊りして、昼間、アパートへ来て俺の身のまわりの世話を焼いた。