轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「このアパートはそのご婦人から聞いたのか」
「ひょうたん池のアビル――お忘れになったかしら」
「そのナオスケ(女)とはアビルの知り合いか。それじゃ、百成綾子のことだな」
ロクはにこにこしながら、しかし無言のまま、ネクタイに手をやっていた。この数年で急に年取ったみたいなロクは、なまっちろい顔が黄色くしなび、くびに年寄りじみたしわが目立った。俺はふと、ロクの首をそのネクタイで締めあげてやりたい衝動を覚えながら、
「俺もひとつ上海へ行こうと思ってたところだ」
「そいつは、まずいな」
そんな口をきくロクに、
「俺の上海行きは、そのご婦人と何の関係もないことだ」
「いいえ。あの……」
まずい理由をロクはこう説明した。俺がウキス(舟)で殺したあの男のダイキョウが上海へやってきて、ある親分のところにころげこんでいる。その親分が最近、ひょんなことから俺の犯行をそれにグラし(告げ)た。
「それでその男は、あんたをバラすって、すごんでるんですよ。ひょっとすると、あんたをねらって、その男は東京へ来るかもしれないんで、ひとつはそれをあんたに言っときたいと思って、ここへ、あたし来たんです」