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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
相手は平然と言葉をかえした。
「どんなに大切な客人か知らないが、子分の俺にも持たせないニギリ(ピストル)を、いきなり……」
「ロクにパチンコを持たせちゃ、あぶないからな。いきなり、何をやらかすか、分らない」
「ニギリをどっちへ向けて使うか分らねえ? それは、こっちで言いたいね」
「おい。ロクさん」
と俺は運転台に声をかけた。
(この野郎、俺が矢萩からも金を取ったことを知ってやがる。それはつまり、砂馬にもすでに、いわばズキが回ってる、ばれているということになる。丸万はそのことを俺に知らせるために、この男を連れて来たのか)
「なんだい」
とロクは無礼な口をきいた。
「ほしけりゃ、このパチンコをお前さんにくれてやってもいいが」
俺は手ぶりで丸万の口をおさえながら、
「ただし、矢萩の子分をひとり、片づけてからのことだ。早いとこ、ニシを向かせなくちゃ……」
「誰だ、それは」
丸万と同時に、若者も、
「誰のことだ」
「さーて、誰かな」
俺はわざと、そらとぼけて、
「腕試しに、ひとつ、このパチンコを使って、そいつを早速ネムらせるか」
「そいつってのは、誰だ」
そう言うロクに、
「ロクさんに聞いてみなくちゃ分らない」