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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
テロリストのなれの果て、悲惨なその最後の姿を人に示そうというのか。わが数奇な運命を、諸君、平凡な生活者に語りたかったのか。
どっこい、平凡な生活者の生活のほうが、ほんとはもっとむごたらしいのだ。
波子よ! 波子よ!
俺は軍刀を借りて、
「さ、やるぞ」
と構えたが、とても曹長のようにはやれそうもない。
「おい、※(「にんべん+欠」の「人」に代えて「小」、第3水準1-14-13)公。もっと前こごみになれ」
奴の頭を手でおさえて、
「もっとクビをのばせ。よーし来た」
俺は軍刀を頭上にあげた。そしてマキでも切るみたいに、垂直に軍刀を振りおろした。
血がさっと俺の顔にしぶいてきたが、首はそのままついていた。※(「にんべん+欠」の「人」に代えて「小」、第3水準1-14-13)公の頸骨がガツンと刃を食いとめたのだ。俺の手に伝わったそのガツンは、なんともはや、いやな感じだった。
「いけねえ」
※(「にんべん+欠」の「人」に代えて「小」、第3水準1-14-13)公は血塗れになりながら、あのヤゲン(ニワトリ)のように生きていた。
ドジを踏んだ俺はあわてて、もう一度軍刀を振りあげた。