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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
強制されてのそれでもなければ、口さきだけのお世辞でもないと俺は思った。
どんなもんだいと俺がやに下っていると、
「こちらのお客さんは……」
とクララが幻滅的な商売女の声で、丸万のあいかたを俺にたずねた。
「マリちゃん? それとも富江姐さん?」
「いいんだ。誰も呼ばなくてもいいさ」
と丸万がひどくまじめな調子で、
「オブでも飲んで、俺は帰るんだ」
「そうお」
とクララはあっさり言った。あんまりあっさりすぎるので、
「富江さんでも呼んで、一緒にオブでも飲むか」
俺が言うと、
「いいわよ」
姉さん株の富江が煙ったいのか、クララはおさえるような手つきをして、
「オブ、持ってきます」
と立ち上った。
俺は食いいるような眼を、そのうしろ姿に――なんて体裁ぶることはない、クララの可愛いお尻に、じっとそそいでいた。眼をそそいだだけでも、そこのすべすべした皮膚の触感や、肉のしまったそこの、固すぎず、やわらかすぎず、なんとも言えない、いや、なんともこたえられない触感が、あたかも両手を前から回して抱きしめたときの実感と同じなまなましさで俺に迫ってくる。スカートを通して、そうしたお尻を俺は早くも助平な眼で透視していたのである。