轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

」

「よおし。」と後ろの床柱の方を向く。

「はははは、ベルはさっきからのべつに押してますよ。」そこはF君抜け目がない。

「だが随分悠長ですな、ここの家は。北海道から此方は妙にベルが利かない。」

「凍っちゃったんでしょうよ。」

「ですがね。すこし変ってますよ。じゃないですか。」

「まったく、これあ、虐待ですよ。」

「それにしても、まるでバラックですね。梯子段だけでもってるような宿屋だ。」

ここでいって置くが、このSS旅館なるもの、何か下等な材木の木の香ばかしが生々しいが、スリッパでも穿かねばとても脂っぽくて歩けそうにもない薄汚さで、そのうえ、廊下の突き当りにはきまって凸凹の姿見ばかりが、白ペンキ塗の厚縁の燦々で、脾弱い、すぐにも撓って外れそうな障子や襖の劃りの、そこらの間毎には膏薬のいきれがしたり、汗っぽい淫らな声が饐えかけたりしている。浴室へ行けばぬるりと辷るし、暗くて狭くて、天井が低くて、息抜きも無ければ、上り湯もない。歪形のペシャンコの亜鉛の洗面器が一つ放ったらかしで、豆電灯が半熟れの鬼灯そのまま、それも黄色い線だけがWに明ってるだけだから驚いた。それにしても店の真正面の梯子段の堂々としていることは、赤渋のニスの塗り立てで、まるで、しゃいしあい、トントントンの遊廓式である。