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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

えらい梯子段だなと這入る時に見て上った。

「手を拍くかな。」と庄亮。

「や、待っていようよ。神妙にしよう。恐れ入った。」

と、ポンポンポンポンポン。さては和製タゴール老か、警部さんか。これはきびしいせっかちだ。

「エンヤラヤノ、エンヤラヤノ、エンヤラヤアノヤアヤ。」

外は祭りの電光飾。

*

「へへん、来やがれ、畜生、何が何だって、今頃になって、碌でもないあまりもののお客なんぞをふり当てやがるんだ。と、てめえも小っぴどくやっつけやした訳で、へい。」

痩形の、小柄の、巾着切りか刑事見たいな、眼が迫って険しい、青いしゃっ面の、四十前後の、それは鼻っぱしの恐ろしい番頭君が、蟷螂さながらの敷居際の構えで、ヤッと片手の利鎌を振り立てた。宿帳をつけに来て、坐り込んでしまったのである。

のっけから、あまりもののお客とやられて、思わずギョッとしたのは、庄亮、H、F、白秋だ。

悲観した。

「ふっ、あまりものとはひどいじゃないか。」とF君。

「へっ、これは御勘弁を。それでも何で、やっぱりBB旅館のあぶれ……。」

「あっはっはっ。あぶれは驚いた。こいつはおもしれえ。」と庄亮。