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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

山はいよいよ高く、林はいよいよ深く、道はいよいよ迂回して、気流はまたいよいよ冷ゆるばかりであった。

霧が驟雨のように流れて行った。

ああ、さるおがせ。寒い寒い幽かな糸状の懸垂。英国風のクラシックな風景画の黒椴の骨格。その枝々のあのさるおがせ。

そうして、私はまた見た、その背景の白い雲の峰を、

また、密叢した落葉松を、

赤椴と赤だもの疎林を。

そうしてまた暗い谿谷の中腹の白く輝く白樺を。

何という処女林、清高な、犯し難い、しかしまた永遠の神性。

私はまた想像した、雪に埋れ、氷に閉され、伸びては枯れ、枯れては生うる林相の無常を。またその光明を。

あ、あれは何だ、あの赤い実の鈴生った蔓草は、やどり木は。

あ、紅葉も見える。もう秋だ。ああ、もう秋だ。

*

山峡である、ややうち開けた。

リュクサックを負った、絵の具函を水筒を肩から掛けた、三人の角帽の学生姿が流るる霧にぼやけ、日の光にまた現われて、その幽かだったPPPが急に大きい影像をつい目のさきに爆じかせて、逆に振り向くと、「やあ、やあ、やあ。」と満面の笑顔を輝やかせた。

「やあ、君たちだったの。