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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

廐の裏でも通りかかって、屁でもプッと落すと、馬がコトリとやるんだからね。きまりのわるいのわるくないの。」

「よくやるんだね、君は。だがお砂糖はどうしたい。」

「そのぉ、お砂糖がア、問題なんだね。それ、どうせ印旛沼だ。あっちに一軒、こっちに二、三軒だ。一日がかりだアね。とう、やっと尋ねあてると、吉植です。それはまあ御鄭寧さまに、さあどうぞ、さて、そこで砂糖を。」

「砂糖を。」

「お手をどうぞというから、それ、右の手を出すと、お砂糖さ。こいつはたまらねえ。だが、そこは神妙に、ありがとうございますさ。厭な顔でもして見たまえ、何だ吉植威張ってやがる、俺ら百姓だがアとなる。そこで一票フイさ。仕方なくなく嘗めるんだ。あっはっはっ。それがまたそのぉ、次から次へとそうなんだからね。掌はベトベトする、口は甘ったるくなる、胸はむかついてくるしね。悪く行き合せると、田舎の事だから牡丹餅をこしらえてる、餡粉の草餅を揉んでる。まあまあ、どうぞお一つ、それやアお一つ、てこ盛りで、勧め方があくどいからね。それに野天は暑いし。」

「あっはっは。」とAさんが笑い出した。「それはお苦しい。」