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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页
」
「先ず、そうでしょうな。」
Iさんは吹いている。
白い支那服の白髯の和製タゴール老人が大きな眼鏡の片紐を垂らし垂らし、ゆうらりと歩いて来た。
「やあ、来た来た、ロッペン団長。」と二、三人が手を拍いた。
「あっはっはっ、つまらねえでさあ。」とタゴールさんは、無雑作に欄干近くの反形のベンチに腰を下ろした。それから身体を斜に、両脚を上げると組み合わした。
「つまらねえもないでしょう。昨晩はどうです。大泊で。あっはっ。」とF君、なかなか逃がさない。
「御同様でさあ。ばらしますぜ。」
「御同様でもないな。」Fさんがまた眼鏡越し。
「そりゃあ、えらいの何のって、とてもだからな。這入るなりヤッというと矢庭に飛びかかって握手した、あの凄さと来たら、あっはっ、とにかく脅やかされましたよ。」
「何処でだい、いったい。」とこちら。
「はっはっ、つまらねえでさあ。」
「や、ちょっとおもしろい処です。なにしろ、お相手が十六、七の、はっはっ。」
「叱ッ。」
「あっはっはっ。」「あっはっ。」「はっはっはっ。」となる。
「といえば、なんでも豊原では馬車でお乗り込みだということで、もっぱらの評判ですぜ。