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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

庄亮は馴れているが、本来私には歌会の形式が好きでない。

思うに運座とか互選とかは、こう大勢ではともすると無意義になるのである。一視同律であまりに酷しく批判すれば、初心の人は怖け、または恨むであろう。また真に熱意の無い人が二、三あるとすると、そうした人にいかにこちらから説話しても真実に要を得させることはむつかしい。で、先方の心が真に道を求めようとして動きかけるまでは、黙っていた方がいい。と私は常に思っている。一つには自分にも出来もしない癖に差出るまでもないと思うからである。

だが、この晩の歌会は非常に静粛に了えた。よく統一されていた。

二次会は新中島という宏壮な家で有志の人たちだけで催された。煌々たるシャンデリヤの下で、置酒交歓、感興成っていつ果つべくも見えない。土地の美妓も数多見えた。半折や短冊を後から後からと書かされる。初めには忸怩として差控えたが、酔うに従って書くに従ってただそのことがうれしくてならなくなる。踊もおどった。伊奈節や麦搗踊、一同が輪になって踊って廻っているうちに夜がほのぼのと明けてしまった。

「あまり書いてはいけないよ。」と庄亮から叱られる。