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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页
眼がとろんとしている。鯨の赤肉見たいような顔の皮膚だ。
「支那服ですがな。支那服。あれは喜んで進上申すと、このY君にもいうときました。先生の御希望じゃ。それはありがたい。結構じゃで、喜んで、進上と。」
「こん人酔うとる。もうそげんか事いわんちゃよか。」Yは元気だ。
「いや、お恨み申す。それをそのお返しになった。これは理窟じゃが、折角の志。」
「そりゃあ、僕も欲しかったんだがね、ちょっと惜しそうに、あんたがしていたというから、お返したまでさ。人が物惜みするのを貰ったってしょうがない。」
「物惜しみ。これはおかしい。いったい、どの仁がそう申したか。怪しからん事じゃな。」
「俺がいうた。ほんな事じゃろが。」とY君が口髭をキウと一つひねって、
「うん、よかたい。一杯飲みなはれ。」
「いや、いただきますまい。わしがボーイを呼ぶ。そういう事なら、一倍お恨み申す。わしの面目が丸つぶれじゃ。先生、御用心さっしゃれじゃ。今度こそはどえらい仕返しをし申すで。」
「よし、よし、わかった。わかった。」
「わかりゃしませんがな。わしの子分を連れて来る。ボーイ、麦酒だ、麦酒だ。――おおい。」
ふらふらと立ち上って、そのまま甲板へ出たと思うと、