轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页

青空文庫

文代さんが、壁のスイッチを押して天井の電燈をつけようとすると、明智はなぜかそれを止めて、大きな肘掛椅子に腰をおろした。文代さんはそれに相対して、小型の椅子につく。

「お疲れなすったでしょう。でも、人間豹の身代りがうまくいきましたのね」

文代さんが、大胆不敵な計略を讃美するように言った。

「ウン、僕が運転台を飛び降りて、やつの前に現われた時は、実に痛快だった。そっくりそのままの人間豹が二匹、顔と顔とを見合わせたんだからね」

明智は、シェードの蔭になった醜怪な人間豹の顔で、ニタニタと笑った。

「驚きましたでしょう」

「ウン、みじめな顔をしたぜ。それに、僕のピストルが狙いを定めているんで、やっこさん手も足も出ないのだ。そのまま合図をして、待ち伏せていた刑事たちに引き渡したんだがね」

「じゃ、今頃は警視庁の地下室でうめいていますわ」

「君はそう思うかい」

明智が変な言い方をした。

「でも、そうとしか――」

「ウフフフフフ……ところが、そうじゃないんだよ。君に話したいというのは、そのことなのよ。実はね、恩田は逃げたのだよ」

「まあ……」

文代さんの美しい顔が、ギョッとしたように話し手を見つめた。