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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
「朝廷がたてられたのは、神武にはじまる。崇神、景行の時代になつて、はじめて国の形ができはじめ、応神、仁徳の時代になつて、かたまつてきた。しかしそれ以後、徳はおとろえたのである。そればかりではない。雄略だの、武烈だのの残虐がおこなわれた。敏達、用明にいたつて、権力は、臣下のほうに移つた。そうして姦臣たちは国の権力を握つた。もしも、天智が出なかつたならば、天皇制はあるいはなくなつてしまつたかもしれない。天智は天皇一門のなかから奮起して、自ら逆臣を天皇の目の前で殺した。(中略)朝廷は、簡単な方式でもつて、人民を治めた。(中略)隋と交通するようになつてから、文化がはいつてきて、国情が変わり、旧態を失つた。(この論は、仏教のおこったのを非難しているのである。)天智の時代になつて、すべての制度は立てられ、世のなかは安定した。」
山陽は、尊王主義の漢学者であつたが、古代の天皇には、残虐の人があつて、天皇の徳が欠けたことを公正に認めている。そうして雄略と武烈の酷悪性を、そのままに正直に認めている。そうして、天皇の権力は、天皇から離れさつたことを、また率直に説いている。