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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
明治以後の歴史家にくらべれば、正論家であつた。
山陽は、さらに、つぎのように論じている。
「神武以来、国に造があり、県に首があつた。それらは、朝廷がえらんだ人であつたが、ふるくからの人望によつて、その職を代々うけついできたものも、すくなくなかつた。天智の時代になつて、そういう制度を変えて、郡県とし、国司をおくことにした。そうして、人物を厳選して、人をかえ、権力を朝廷の手におさめた。天皇は、六十六人の官吏をえらんで、人民を治めた。人民のために、官吏をおいたのであつて、官吏に人民をしたがわせたのではない。しかし後年になつて、国司の更送がおこなわれ、そうして大小の領地は、氏族の望みによつて、分配された。そうして関東に武士の勢力が強くなるにおよんで、大名、小名という名目がつけられ、地方の豪族は、その部下をひきつれて、大名や小名となつた。鎌倉幕府は、守護地頭を設けたが、幕府の類族をそれに当てた。封建制度はそうしてできたのである。天智のつくつた制度は、それによつて、廃されたのである。」と。
天皇は、はじめから、絶対的の君主ではなかつたことは、山陽のごとき尊王主義者も、それを否認しようがなかつたのである。