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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
すなわち神武よりもさきに、日本本土の中央に、君臨していた一大氏族の子孫である。その領土は、古い書物には「河内および摂津において十八万六千八百九十代」と書きあらわしてあるが、その代(シロ)というのは、どれほどの広さの土地であるのか、私には分からない。
これにたいして、蘇我氏は、武内宿禰の子孫として、一大氏族をつくっていた。武内宿禰は、日本の古代の帝国主義を建設した人物であった。彼は天皇孝元の子孫であり、後には、神功皇后と特別の関係にあった大臣であった。したがって、その一族の勢力の大きかったことは、容易に想像できる。
物部氏は、神武よりも古くから、中央日本の権力者であった。それゆえ、その家の人びとは、むろん保守主義であり、「天を祭ること」を、すなわち「神道」を固持していたことも想像にかたくない。蘇我氏は、侵略者神武の子孫であり、また侵略の雄者であった。したがって、当時の進歩主義者であったにちがいない。
この二大族は、仏教渡来という重大事件に当面して、はげしく衝突した。
天皇欽明の十三年十月十三日、百済の国の聖明王は、太夫の西部姫氏を、日本に派遣して、釈迦仏の銅像と経文とを、天皇に貢物としてさし出した。