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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
天皇は、群臣にむかって間われた。「西の国から仏を献じてきた。その容貌は、偉であり、うるわしいものがある。礼拝しなければならないだろうか、どうであろうか。」と。そのときに、時の大臣の蘇我稲目は、「もちろんのことであります。」と答えた。
大連の物部尾輿と中臣連鎌子とは、それに反対して言った。「わが国が天下を治めるには、つねに、天の神、地の神、一百八十の神々をもって、春夏秋冬とに、それを祭るのである。それには、きまった方式がある。今日において、それを改めて、外国の神を拝することにしたならば、おそらく、国神は怒るでありましょう。」
天皇欽明は、それにたいして、「それも、もっとものことばである。しかしながら、百済国王の貢物は、それを捨てることはできない。だれか、この神を奉ずるものはいないか。」稲目は天皇に礼拝して、仏像を賜わるようにと願った。そこで仏像は、蘇我氏に賜わったのである。(以上は林羅山の「欽明天皇諭」の和訳)
蘇我氏のこの行為があって、日本には仏教がおこなわれたのである。漢学者は、それを「千年の遺憾」と言っているけれども、むしろこの評言は、日本文化のためには、あやまったものといえる。