轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
四ん這いになってマン・ホールを覗き込んでいる男の顔と、黒い水に浮ぶ夢の様な女の顔とが、上下でじっと目を見合せていた。
白昼の銀座近くの人通りだ。覗き込む工夫の眼の隅には、忙しそうに歩いて行く人影がチラチラと映っている。地上の世界は、何の変りもなく、昨日も今日も同じ様に運転しているのだ。その慌しい現実世界から、ヒョイと頭をめぐらして、この暗い地底の流れを覗いて見ると、そこには、地上とは全く縁のない、青白く美しい別世界が開けていた。
その薄汚い闇の中からじっと見上げている女の顔の、この世のものとも見えぬ美しさ。もう一人の工夫がシャンだと云ったのは嘘ではなかった。夢にもせよ、幻にもせよ、よくもまあ、これ程美しい女がと、彼は首をマン・ホールに突込んだまま、飽かず眺め入るのであった。
だが、ふと夢見心地から醒めて見ると、徒らに地底の美女を観賞している場合でないことが分った。これはただ事ではない。まさか生きた女が下水道に潜り込んでいる筈はない。いくら美しくても、生々としていても、この女は死骸に極まっている。アア、ひょっとしたら、……
「オイ、こりゃ人殺しかも知れないぜ。