轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
如何にも、ショウ・ウインドウの正面には、一人の美人人形が、派出な洋装をして、長椅子に腰かけているのだ。
「ですからね、僕はここの番頭に聞いて見たんですよ。人形を取替えたかって。すると番頭は、一週間程前に飾り替えたばかりで、まだ二三日はこのままだと答えました。先生、人形がいなくなったことを知らないのですよ。ハハハ……、おかしいじゃありませんか」
彼の笑い声は、気違いの様に不気味であった。
「じゃ、君の思い違いだ。あすこに腰かけているのが、その人形ですよ、君の好きだっていう。……君の目がどうかしているのだよ」
紳士が少し軽蔑した口調で云った。うしろから圧し殺した様な笑い声が聞えた。
「アア、あなたは僕を気違いかなんかだと思って、馬鹿にしていますね。フフフ……それもいいでしょう。だが、今に後悔しますよ。マア、僕の云う事をおしまいまでお聞きなさい」
そこで、怪人物の不思議な演説が始まった。表面は紳士に話しかけているのだが、その実、背後の夥しい群集を意識しての演説であった。誰も立ち去るものはなかった。それどころか、奇妙な男の一言ずつに好奇心をまして、まるで大道芸人をでも見物する様に、耳を澄まして聞入っていた。