轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
こんなにも実在の人物によく似た人形のあろう道理がない。
二人の店員は、暫くの間、まるで、彼等自身が男のマネキン人形ででもある様に、立ちすくんでいたが、やがて、おずおずと人形の側に近附き、洋装の上から、ソッと手足に触って見た。
外部からも、その一瞬間、彼等の表情がサッと変るのが眺められた。
一人の店員は、何を発見したのか、大きく口を開いて叫びながら、マネキンの――相川珠子の死体の――胸を指さしている。
群集の視線が、その一点に集中された。
アア、蠍だ。真赤な蠍だ。
もう一点の疑うところもない。殺人鬼はここにも、彼等の紋章を残して行くことを忘れなかったのだ。
二人の店員は、そそくさと店内に姿を消した。そして、暫くすると、パッと照明が消えて、ショウ・ウインドウの前面の重い鎧戸が、ガラガラとおり始めた。
今まで鎮まり返っていた群集が、俄かにざわめき出した。あらゆる驚きの形容詞が、百千の口をついてほとばしった。そして、群集は刻一刻その数を増して行った。電車線路を横切って、殺到する人々が、暫くはあとを絶たなかった。
だが、奇怪なのは、この騒ぎの発頭人であるインバネスの男であった。