轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
のを幸い、殿村未亡人を、そこの家庭教師に世話をして、今日はそのお目見えの日であった。
「アア、殿村さん」
守青年はドアの音に振返って、元気のない声で云った。
「まだ考え事をしていらっしゃるの? いけませんね、そんなにくすぶっていらしっちゃあ」
殿村さんは、気がかりらしく眉を寄せて守の顔を覗き込む。
「どうでした。桜井の家は、お気に入りましたか」
青年は、てれかくしのように、別の事を訊ねた。桜井というのは、今度殿村未亡人が勤めることになった家の名なのだ。
「エエ、大変結構ですわ。それに、お嬢さんがすなおな、それはそれはお美しい方で、……アラ、こんなことあたしが云わなくても、守さんはよく御存知でしたわね。ホホ……、お嬢さんから、よろしくとおっしゃいました」
からかわれて、守青年はドギマギと目のやり場に困った様子であった。少しばかり赤面さえした。すると、彼は桜井のお嬢さんに、ただ妹の学友として知合いである以上に、何かの感情を抱いていたのであろうか。
「でも、あたし、桜井さんへ上ることは止そうかしらと思いますの。実はそれについて、守さんの御意見を伺いに参りましたのよ」