轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
彼は何かしら目に見えぬ理外の力と争っている様な、一種異様の恐怖を禁じ得なかった。
老人の解し難い発作は、守青年には非常に長く感じられたが、実は二三分程で、ケロリと納まった。突然、瘧がおちたという感じで、あれ程うめき苦しんでいた三笠老人が、グッタリと死人の様に動かなくなってしまった。
そこへ、やっと院長の医学博士と看護婦とがやって来た。守は病人を二人に任せて置いて、急いで窓の所へ行って、ソッとガラス戸を上げ、闇の中を覗いて見た。だが、別に人の隠れている気配もない。やっぱり幻影だったのかしら。それとも、魔性の奴は、素早くも逃げ去ってしまったのだろうか。
やがて、窓をしめて、ベッドの所へ戻って来ると、院長は別に詳しく診察した様子もないのに、もう病室を引上げそうにしていた。
「心配した事はないのでしょうか。素人にはひどく悪い様に見えるのですが」
守は簡単に挨拶したあとで、訊ねて見た。
「イヤ、悪いと云えばひどく悪いのだが、併し、御心配なさる事はありませんよ。マア、ゆっくり話して行って下さい」
赭顔の快活らしい院長は、消毒衣の太った腹の前で、両手を柳の様に、シナシナと二三度振って見せて、ニコニコ笑いながら病室を出て行ってしまった。