轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
、医師の介抱にやや元気を恢復した所へ、桜井家から、品子さんが誘拐されたとの電話を受けたのであった。
「畜生! とうとうやりやがったな。……お父さん、僕はもう大丈夫です。すぐに桜井さんへお見舞いに行こうじゃありませんか」
守は非常に昂奮して、床からはね起きると、いらだたしく父操一氏をせき立てた。
操一氏は桜井栄之丞氏とは私交上でも事業関係でも、此上もない親密な間柄であったから、守に云われるまでもなく、見舞いに駈けつけなければならなかった。そこで、相川父子は直ちに車を命じて、桜井家を訪ねたという次第であった。
同じ様に最愛の一人娘を奪われた中老の父親、相川氏と桜井氏とが、どの様な感情を抱き、どの様に目と目を見合わせ、どんな挨拶を取り交したか、ここにその一々を記すまでもないことである。
相川父子に踵を接して、警視庁の蓑浦捜査係長が再び訪れて来た。異様な会議室の人数は段々殖えて行くばかりであった。
「蓑浦君、待ち兼ねていた。手掛りは? 賊の手掛りは?」
桜井氏が、警部の顔を見るより叫ぶ様に訊ねた。
「賊の自動車が発見されたのです」
係長は、一向浮かぬ顔付で、そこの長椅子に腰かけながら答えた。