轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
前に立つのは、印半纒に、鼠羅紗の半ズボン、深ゴム靴、土木請負師といった風体、だが、こんな老いぼれ請負師ってあるものだろうか。その爺さんは、皺くちゃの顔を白髪白髯に埋め、曲った腰でよぼよぼと歩いて来るのだ。
そのあとから、やっぱり同じ印半纒を着た屈強の大男が、鉄板張りの大トランクを、背中にのせて、従っている。何とも珍妙なお客様だ。
二人は門内の砂利道を玄関につくと、そこの呼鈴を押して案内を乞うた。すると、一人の女中が扉を開いて、顔を出したが、時も時、この異様の訪問者に、不気味らしく顔をしかめて、
「どなたでしょうか。只今少しとりこんで居りますので、……」
と門前払いの気勢を示した。
白髯の老請負師は、女中の渋面には取合わず、落ちつきはらって、一枚の名刺をさし出しながら、
「イヤ、君では分らん。御主人の桜井さんに、こういうものが訪ねて来たと取次いで下さい。相川操一さんもここへ来ておられる筈じゃ。又、わしの親友の相川守君も、いる筈じゃ。みなさんに、わしが来たと伝えて下さい」
と横柄な口を利く。
女中は老人の勢に圧倒されて、渋々名刺を受取って、奥へ入って行ったが、間もあらせず、守青年が、その玄関へ飛出して来て、怪老人を歓迎した。