轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
桜井氏夫妻は、手をつかねて、愛嬢の死を待つ外に、如何ともせん術がないのだ。
人々は、瀕死の病人の枕頭に坐して、刻一刻呼吸の絶えて行くのを、どうすることも出来ないでただ眺めていなければならない時の、あの名状し難い悲痛な惨酷な感じにうちのめされていた。
やがて、室内に悲しみに耐えぬ嗚咽の声が起った。桜井夫人が、両手に顔を埋めて、声を殺して泣いているのだ。殿村夫人も、泣き声こそ立てなかったけれど、ハンカチを丸めて、頻りと目をこすっていた。
「相川君、警察なんて、あってもなくても同じ様なもんだね。一人の人間が、今殺されようとしているんだ。それをハッキリ知っていながら、我々はどうすることも出来ないのだ」
桜井氏が泣きそうな顔になるのを、堪え堪え、棄鉢な調子になって云った。
相川氏は答えることが出来なかった。彼も亦、ついこの間同じ悲痛を味わったばかりなのだ。二人の不幸な父親は、声を揃えて、神様を呪いでもする外はないのであった。
幾度となく警視庁へ電話がかけられた。併し、その度毎に何の吉報が齎されるでもなく、失望を新たにするばかりであった。
「守さん、さっきの私立探偵はどこにいるんです。