轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
イヤ這い出したどころではない。その岩の中から、ニュッと短刀を持った人間の手が出て、わしの腰に斬りつけた。この岩さえ這い出さなければ、珠子さんは殺されずとも済んだのじゃ。
申すまでもなく、張り子の岩の中に何者かが潜んでおったのです。だが、あの岩は高さ三尺程で、囲りも極く狭かった。あんな小さな岩の中へ、一人の人間が隠れられるとは思えんのじゃ。それにも拘らず、そこには確かに人間が入っている。
わしは、こいつこそ、今度の殺人事件の原動力となっているのではないかと考えた。その奴は、支那カバン程の箱の中へも、三尺の張り子の岩の中へも、ゆっくり隠れられる程小っぽけな人間に違いない。しかも、その性質たるや残虐無類なのじゃ。わしは、そこまで考えた時、背中に水をあびせられた様に、ゾーッとしましたよ。
ところで、今聞くと、昨夜ここの庭で、守君が大蠍の怪物と組討ちをやった時、その蠍の衣裳の中に入っている奴の手応えが、実に異様であった。まるで子供みたように小っぽけな奴であったというが、考えて見ると、こいつがやっぱり、あの岩の中からわしを傷けた奴と同じ怪物に違いないのですじゃ。