轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
夫人は色蒼ざめ、欠唇の唇が異様に開いて、聞える程の烈しい息遣いをしていた。が、強情我慢にも、まだ白状しようとはしない。黙ったまま、血走った目で、探偵をじっと見返している。
「お前さんはまだ云いのがれが出来るとでも思っているのかね。そんな事はみんな情況証拠で取るに足らんとでも云うのかね。それじゃ、これを見るがいい。これはお前さんが頼みに思う手下共が、首領に自白を勧める勧告書じゃ。この筆蹟には見覚えがあろう。お前さんは因果物師の中の悪党共を手なずけて手下にしていたのじゃ。その手下共がもうすっかり白状してしまったのだよ。それでなくて、この片輪娘をここまで連れて来られるものかね。そして、この娘がお前さんの実の子だなんて、わしに分るものかね。ハハハハハ、どうじゃ、お前さんは一人ぼっちになってしまった。もう誰も助けてくれるものはない。袋の鼠なのじゃ。潔くわしの前に降伏してはどうじゃ」
それでもまだ、殿村夫人は黙っていた。黙ったまま立上って、憎悪に燃える目で、白髪の老探偵を睨みつけていた。やがて、実に不思議なことには、その蒼ざめた顔が、異様に歪んだかと思うと、突如として甲高い笑い声が、室内に響き渡った。