轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页

青空文庫

ふと気がつくと、大通りに面した広い空地に、大きなテントが薄白く聳えていた。曲芸の見世物だ。すっかり電燈を消したテント張りが巨象の感じで押し黙っている様子が、守を吸い寄せないではおかなかった。

彼は又しても悪夢のもやに捲き込まれる様な気持で、そのテントの前に佇んで、毒々しいペンキの絵看板を見上げた。丁度彼の前にあったのは、一人の醜い一寸法師の娘が、印半纒を着て、鉢巻をして、手踊りを踊っている絵であったが、その娘の厚ぼったい唇が、遠くの街燈の光を受けて、薄気味悪く笑っていた。

今度空車が通ったら呼ぼうと考えながら、何となくその絵看板にひきつけられて立ちつくしていると、小屋の中に忍びやかな人の跫音がした様に思われたので、ギョッとその方角に目をやると、小屋の入口の幕がムクムクと動いて、一人の洋服を着た男がソッと忍び出して来た。

(オヤ、曲芸団の人達はこのテントの中で寝るのかしら)

と見ている内に、男はツカツカこちらへ来かかったが、そこに守が佇んで、じっと自分を見つめているのに気づくと、ハッとした様に、向きを変えて反対の方角へ歩き出した。

(あいつだ! 春川月子を殺した奴だ!)