轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
「サア、そっちを向くんだ。そして、あんよは上手と」
肩を掴んでねじ向けられると、もうそのままにしている外はなかった。
忽ち背後に悪人の走り去る跫音が聞えた。そして、二三間隔った声で、
「精々用心したまえ」
という捨白が、囁くように聞き取れた。
殺人鬼は、今まで考えていたよりも、数倍も恐ろしい奴であった。守青年が今夜殺人現場を見せつけられたのは、偶然ではなかったのかも知れない。悪魔はそれをちゃんと予知していて、彼の所謂餌食の料理法を、態と見せびらかしたのかも知れない。すると、レストラン・ソロモンでの邂逅も、密談も、凡て悪魔の計画の内に含まれていたのだろうか。
守は悪人の跫音が聞えなくなると、性懲もなく又跡を追おうとしたが、その横町は一度大通りからそれると、まるで迷路のように入組んだ細道になっていて、その上軒燈もない真暗闇なので、出来るだけ歩き廻って見たけれど、青眼鏡の行方をつきとめることは全く徒労に終った。
彼は仕方なく大通りに引返し、空車の通るのを待って、家に帰ったが、その途で、さい前の派出所へ立寄って、金杉での、恐ろしい出来事を報告するのを忘れなかった。