轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
我れと我が肌をじっと眺めていると、珠子はいつもの擽ったい様な、甘いような、夢心地になって行った。
(人間って、どうしてこんなに美しいのだろう)
珠子は彼女自身の裸身に惚々とすることがあった。ある名も知らない赤雑誌に「東京女学生美人投票、第一席、ミス・トウキョウ」として、どうして手に入れたのか、珠子の写真までのせてあったのが、大評判になって、お友達から散々冷かされたことが、寧ろ誇らしく思い出された。
彼女は自分自身の美しさをよく知っていた。知っていればこそ、余計に今度の事件が恐ろしく思われるのだ。人の恨みを買った覚えは少しもない。犯人の目的が何であるかは、春川月子という第一の犠牲者を考えただけでも、分り過ぎる程分っている。
「オオ、青眼鏡さん! あたしの身体が、そんなにも欲しいの?」
彼女はふとそんなことを口走って、独りで赤くなった。兇悪無残の殺人鬼が、ゾッと総毛立つ程恐ろしければこそ、怪しくも懐しまれる刹那がないのではなかった。
彼女は目の前の透明な湯の中に、浮き上った桃色の肌の上に、水晶体凝視の魔術の様に、まざまざと、もつれ合うおぞましの幻を描いていたが、その余りにも強烈な刺戟に、真蒼になって思わず飛び出す様に浴槽を出た。