轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
が、ドッシリと据えられ、その両側に主客の椅子が向き合って置いてある。
机も椅子も非常に古風なもので、現代人の目には、いやらしい程彫刻が施してある。殊に椅子の背中の凭れは、腰かけた人の頭より一尺も高くて、十八世紀の英国へでも行った様な気がするのだ。
三笠氏は、客にお掛けなさいとも云わず、サッサと自分丈け、その椅子に腰を卸して、知らん顔をしている。
実に変なお爺さんだ。五十五六歳の様に聞き覚えていたが、見た所では六十以上にも思われる。頭も鬚も半白で、それがどちらももじゃもじゃと、まるで叢の様に乱れ、その真中に巨大な鼈甲縁の眼鏡がキラキラと光っている。
服装は、カラも何もない皺くちゃのワイシャツの上に、ダブダブした冬物のスコッチの背広を着ているのだが、非常に背が低くて痩せているので、まるで猿に洋服を着せた様な恰好だ。
守が一通りの挨拶をして、前の椅子に腰かけると、老人は正面からジロジロと彼の顔を眺めながら、
「どんな用件だね」
と、不愛想に訊ねた。
「実はこの頃新聞で騒いでます妖虫事件についてお願いに上ったのです」
妖虫事件と云えば、三笠氏はきっと興味を感じて、乗り出して来るに違いないと予想していたのに、一向そんな様子は見えぬ。