轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
すると、それに答える様に、闇の中にパッと光りものがして、ギラギラと輝く怪物の目が彼を睨みつけた。
「君は、相川君ではないかね」
意外にも、その光りものの奥から、獣が人間の言葉で呼びかけた。イヤ、獣でも、お化け蠍でもなく、それは一人の人間だった。この穴蔵には守の外に、誰かしら先客があったのだ。光りものは、怪物の目ではなくて、その男が小型の懐中電燈を点火したのであった。
「誰です、僕の名を知っているのは?」
守は、声の主を敵とも味方とも計りかねて、用心しながら聞き返した。
「やっぱり相川君だったね。わしだよ」
相手の人物は、そう云いながら、懐中電燈の向きを変えて、我れと我顔を照らして見せた。
闇の中に、顎の下からの逆光線で、クローズ・アップされた老人の顔、モジャモジャした頭髪、顔を埋めた半白の鬚髯、まん丸なロイド眼鏡。
守は慄然として、息を呑まないではいられなかった。
いつの間に先廻りしたのだろう。何という素早さだ。そこに照らし出されたのは、正しく最前の三笠龍介の、不気味な顔ではなかったか。
「アッ、貴様は!」
(さては、悪魔奴、穴蔵へ落したばかりでは安心出来ないものだから、俺の息の根をとめる為にやって来たんだな)