轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年6月~7月、9月~10月、1932(昭和7)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,038 字 · 133 页
顔色が変にあさ黒かったが、あれもひょっとしたら、巧なお化粧をしていたのではあるまいか。イヤ、そればかりではない。あいつの声は、何だか変であった。作り声をしていたに違いない。などなど、次から次へと疑いが起って来た。
一方毒薬の為に意識を失ったゴリラ男は、普通の人であったら即死すべき所を、野獣の様な体質のお蔭で、辛くも一命はとりとめたけれど、意識を取り戻しても唖の様にだまりこくって、ただ寝台の上に長くなったまま、身動きさえしなかった。気が違ってしまったのかも知れない。自然取調べは少しも進捗しないのだ。
その騒ぎがあってから七日目の夜のことである。
大江蘭堂は喜多川夏子に誘われて、鎌倉の彼女の家に客となっていた。
恋人を失った悲しみはまだ新しかったけれど、この若く美しき未亡人の、友達としての魅力は捨て難きものがあった。
彼女は美しかったし、お金持であったし、蘭堂に並々ならぬ好意を寄せていたし、その上、女に似げなき推理の名手であって、D百貨店の花嫁人形事件では、謂わば専門家の蘭堂をさえアッと云わせた程だから、最初は嫌い抜いていた蘭堂も、いつの間にかこよなき友達としてつき合い始めたのは、無理もないことであった。