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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
とある得意な小舞を歌ってみせたり、また、家臣と家臣の家のあいだを取り持って縁結びの世話までやいていた。
細川藤孝は、丹後の一色義直を亡ぼして、その田辺の城を、信長に献じ、信長から、
「御身、そこに在るべし」
と、ゆるされて、いま、丹後一円の地を所領している。
その細川藤孝と、隣国丹波の明智光秀とは、親戚以上の親睦をつづけている。
ふたりの仲は、信長にまみえる前からの交わりだった。
まだ光秀が時にも主にもめぐまれず、越前の朝倉家に客となって、訪う人もない浪宅に微禄していた頃、初めて門をたたいて、将来の希望を語りあった人こそ細川藤孝であった。
その将来の人物を、
(信長のほかにはない)
と見極めて、共に、越前を脱して、将来の計を岐阜城に説き、以来、款を通じて、今日までその志を、信長に託して、成し遂げて来た――藤孝、光秀のふたりだった。
だから、ふたりが会えば、かならず往年のことを思い出して、
「あの時は。この時は」
と、苦労を語りあうことが、他目にも羨ましいほど親しい藤孝と光秀なのである。
信長も、この二人の功は、充分に認めていた。いわゆる譜代の臣以上なものがある。