轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

06 第六分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页

青空文庫

に、頻りと何か語りながら本丸の道へと歩いていた。

「――この正月の賀にも、ついに顔をすら見せぬ。病気というが、何か、叔父上のほうに、消息はありませぬか」

勝頼がいう。

それは、勝頼の従弟にあたる、一族の穴山梅雪のうわさをしているのであった。

武田方にとって重要な南方の要衝、駿河口の江尻の城をあずけてあるその梅雪が、ここ半年以上も伺候せず、何があっても病気と称して出て来ない心配からであった。

「いや、ほんとに病気らしく思わるる。梅雪入道は正直な男、よも仮病などではありますまい」

そういう逍遥軒こそ、亡兄信玄の気性に似もやらで、実に誰にも負けない好人物なのだから、勝頼としては、この答えに、安心しきるわけにもゆかなかった。

逍遥軒は口をつぐんだ。

勝頼もそれなり沈黙した。――が、二人の歩みだけは、黙々とつづいてゆく。

本丸と奥の丸との間には、雑木の狭い谷間がある。渓流もある。左右の崖には梅が咲きかけていた。

その谷間の橋まで来たときである。何に驚いたか鶯が一羽落ちるように、翻って逃げた。――と、同時に梅の崖から、

「お館。それにお在でられましたか。一大事です」