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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

06 第六分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页

青空文庫

半兵衛も、御仁慈のおかげをもって、このところ御覧のごとく病も癒え、はやいかなる陣務にも耐え得べしと、自信もできましたれば、おゆるしも待たず、ふたたび帰陣仕りました。――ただならぬ御苦戦の折、しばしなりと、勤めを欠き、何かと御用も怠っておりましたが、向後はお心安く思し召しくださりますように」

いつものように静かな沈重な物腰である。ふいに姿を見た初めにはすぐ病体が案じられたが、こうして話しているうちに、

(まったく快方に向ったものとみえる)

と、秀吉も心のうちでやや安堵を抱いて来た。

一方、黒田官兵衛が、ここへ戻って来たのは、それから三日目であった。――官兵衛は、秀吉に会うと、男泣きに泣いて、

「このたびの難に当って、初めてあなたの真情というものが、真底から相分った。この厚恩は、死ぬまで忘れません」

と、いった。

また、竹中半兵衛に対しては、

「御友情のほど、骨髄に徹するほど、ありがたく思います。お礼のことばもない。ただこの上は、幸いに、なお生きることを得た生命を、あらん限りまで、よく生き用いて、おこたえ仕るしかありません」

と、再三、礼をかさねた。

松寿丸を呼んで、半兵衛が、