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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
の別所長治などだった。
「可惜、胸と胸を打ち割って、語りあえば分る――敵ならぬ敵と、かくも死闘して、かくも長い月日をここに費やすとは」
と、こよいも秀吉は、慨然と、篝火を焚かせて、夜寒をしのいでいたが、ふと、うしろを振り向くと、そこには何の屈託も知らない小姓組のうちでも、年少な小つぶばかりが焚火に寄って、一月の寒さというのに、半裸体になり合って何かおかしげに騒いでいる。
「佐吉、松千代。おまえたちはさっきから、一体、何をはしゃいでいるのだ」
羨ましげに、秀吉が訊くと、近頃、小姓組の仲間に入った黒田松千代が、
「何でもありません」
と、あわてて肌を入れて、具足を着直した。
すると、石田佐吉が、
「殿さま。松千代どのは、穢いことと、お耳に入れるのを憚って、お答えを避けましたが、申しあげないと、御不審かもしれませんから、私から申しまする」
「ムム。何じゃ穢いこととは?」
「みんなして、虱を捕り合っていたのでございます」
「虱を」
「ええ。いちばん初めは、助作どのが、私の襟に這っていたのを見つけ、それから虎之助どのが、仙石どのの袖にも見つけ、みんなして、移るぞ移るぞといって、からかっているうち、こうして焚火にぬくもっていたものですから、誰の姿を見ても鎧の上に、虱がぞろぞろ這い出して来ました。