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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

「その結果、いよいよ彼を攻めるとなったときの対策は――また中国の情勢は、どう変って来ると予測するか」

「おそらく、毛利方も、また本願寺とて、そう急激には、うごきますまい。なによりは、すでに反旗をあげた村重に、血みどろな抗戦をさせ、そのため、播磨にあるお味方なり、安土の御本営なりが、ようやく疲れて来たと見れば――忽ち虚にのって、八面から起つ計画かと思われます」

「そこだ……村重の馬鹿正直なところは。……彼にいかなる不平があり、またいかなる好餌をもって誘われたか知らぬが、要するに、毛利と本願寺の楯に使われ、楯の役目を了われば、可惜、自滅のほかない。武勇は人なみすぐれているのに、不愍なもの。――やはり何とか生かせるものなら生かしたいが」

「そうです。最善の大策は、飽くまで彼を殺さずに、やはり彼の如きをも、生かして味方とするにあります。それに如くはありません」

「――が、安土からの使いでは駄目だとすると、誰が行ったら村重が服従しよう」

「まず官兵衛どのを遣わしてごろうじませ。黒田官兵衛の舌なれば、或いはよく説きさとして、摂津守村重の悪夢をさましてやることが出来るかもしれません」