轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

梅雪の答えに、そうかと頷いて、やや安心したらしく、

「通せ」

と、ゆるした。

まもなく、馬場、山県の両将は打ち揃って勝頼のまえに出た。果たせるかな、勝頼の予感はやはり中っていた。

「昨夜、おそくの御陣触れ、とるものも取りあえず、かくは馬揃いまで馳せ参じましたなれど、つねにも似ず、御軍議もなく、いかなる御勝算あっての御出馬か。――今日のお立場は、決して、軽々しくおうごきあっていいものではありません」

美濃守がまずいうと、山県昌景もともに、

「故君信玄様さえ、西征の難には実に、幾たび苦杯をなめられたか分りませぬ。――小国ながら三河武士には一すじの骨があり、織田はこのところやや時を得て、計多く、うかと、図に乗って、深入りせば、足を抜くことのできない惧れが多分にあるやと考えられます」

口を揃えて、ふたりは、諫言しはじめた。

この二将は、さすがに信玄仕込みの老練なので、勝頼の胆略にも武勇にも、大して心服していなかった。――むしろ危険にさえ視ているふうであったのである。

日頃から勝頼もそれを感じている。だが、ふたりの持説とする、

(ここ数年は守るに如かず)

と、いうような保守主義は、彼の性情としても、若さからも、承認できないことだった。